復元・修復repair
立湧に桐紋様唐織小袖
高台院が寄付をした打敷を、もとの打掛の姿に復元したものです。オリジナルの裂裏の褪色の少ない部分を参考にして、植物染料によって当初の色彩の再現を試みました。色数は紅の濃淡をはじめ、紫や黄色など十色に及び、桃山時代の色彩感覚をしめす華やかな唐織であったことがうかがえます。
紅地蝶に下り藤文唐織能装束
能楽を代表する流派である金剛流宗家が所有する能装束をおよそ3年の期間をかけて復元しました。装束の上段にあしらわれた蝶の文様は、引箔技法を用いて丹念に織り上げられています。
紅地桜に雪持笹鳳凰文唐織能装束
厳島神社が所有する能装束を復元したものです。紅地に八重桜と雪持笹、羽を拡げた鳳凰が(織巾一巾に横方向文様の繰り返しが二回)として、また色ずかいは織工人の判断で多色に織り出され、唐織部分のとじが全く無く、また地模様と上紋様の区別が無いなど、桃山時代の特徴をそなえています。
立湧丸に菊花紋様唐織小袖
浅井長政夫人着用小袖類は高野山内の寺院、持明院所蔵の重要文化財「浅井長政夫人像」の小袖を忠実に再現いたしました。 夫人は織田信長の妹で「お市の方」の名で知られています。再現にあたって復元生地とその素材についても、当時のものにより近い素材を得る試みとして、小粒繭の使用と生繭の座繰りによる糸作り、灰汁による精錬などを行い、およそ二年の歳月を費やし織り上げました。